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天空の城ラピュタの世界観を目指して! ~呉・江田島をクロスカブでツーリング

「小型バイク乗りにとって、一番快適に走れる道ってどこだろう?」
そう考えた時、答えのひとつとして思い浮かぶのが島旅です。

大型バイクでは走りにくいグニャグニャ道や悪路はもちろん、車一台分しかないような狭い道でも小型バイクなら問題なし……というか、むしろアトラクションみたいで楽しいのです!

今回は広島県江田島市をめざして、愛車クロスカブとともにツーリングへ行ってきます!

 

呉市からスタート

今回のスタート地点は広島県呉市内のとあるホテル。窓からは真っ青な空と、造船所が並ぶ海が見えます。

遠くに見えるピンク色の船は、現在建造中であるオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)の世界最大級のコンテナ船。全6隻シリーズのうちの1隻なのだそうです。

呉市内に造船所が多いとは知っていましたが、その様子は予想以上でした。クロスカブのエンジンをかけて走り始め、海沿いの国道487号線を通りかかると、まるで都会の高層ビルのようにクレーンが立ち並んでいます。

また、呉市内には海上自衛隊の基地もあります。道中立ち寄った呉潜水艦桟橋では、潜水艇と艦艇がたくさん浮かんでいるのが見えました。

周りを見渡してみれば、青い迷彩服を着た隊員の方々もたくさんいらっしゃいます。皆さんさすがの姿勢の良さで格好良かったです…!

 

鹿島で出会った漁港の風景

実は今回のツーリングには、ひとつテーマがありました、それは「事前下調べ&ナビなしの行き当たりばったりツーリング」。本州と比べると土地が狭くて道がわかりやすい、島だからこそできる旅です。

呉市から音戸大橋を渡って倉橋島へと着いた時も、とりあえず島を一周することを第一目標に時計回りの順路をとりました。

ところが…地図を見ればわかるのですが、倉橋島の形はちょっと複雑。走っているうちに自分がどこにいるのか見失ってしまい、道に迷ってしまったのです。

その結果まっすぐ江田島にたどり着くができず、想定よりもかなり規模が小さな白い橋が目の前に現れたのでした。

「…これは、江田島に続く橋じゃあなさそうだなぁ」
しかし橋を見つけたからには、渡らなければ好奇心が許しません。橋の正体は鹿島(かしま)大橋。呉市に浮かぶ人口250人ほどの有人島、鹿島へと続く橋でした。

鹿島の道はまさにクロスカブにうってつけといった感じ。乗用車1台が通れるかどうかというほどに狭い道を、海を眺めながらのんびりと走ります。

特に狭い箇所では、軽自動車も苦労するような道になります。これでも県道285号線と、県道指定されているのだから驚きですよね!

斜面に民家が密集し、隙間を縫うように道が造られているのは島の地形あるあるです。最終目的地の江田島にはまだたどり着いていませんが、「これが走りたかったんだよ♪」と早くも大興奮でした。

鹿島は漁業に従事する方が多いようで、島の行き止まりで見かけた漁港では、ちょうど帰ってきたばかりの漁船が荷下ろしをしています。漁師さんたちの威勢のいい声とカモメの鳴き声が真っ青な空へ響いていました。

周りには住宅や車がたくさん。狭い区域しか走らないため車が傷みにくいようで、50年近く前に製造されたハイゼットトラックが現役で使用されていてビックリ。
私自身もハイゼットトラックのオーナーなので、大先輩が活躍している姿は見逃せません。大事にされているようで、ムラなくきれいに自家塗装してあるのが印象的でした。

 

江田島で砲台跡地を見る

鹿島を出た後は北へと向かい、国道487号線に合流したところで江田島へと渡る早瀬大橋を発見しました。江田島でも島をぐるっと一周することをもくろみ、橋を渡ったらすぐに海沿いを反時計回りの方向へ進みます。

江田島では橋だけでなく船でも本島との往復が盛んなようで、いくつかある港の近くには新しげな住宅街が点在していています。船の行先は呉港だったり広島港だったりと、通勤や通学にも便利そう。島らしいのどかな暮らしをしながら広島市内で働けるとは、羨ましい環境です…!

江田島の西側、県道36号線を走っている時に気になる看板を発見しました。それは「三高山砲台・北部砲台跡」というもの。どうやら昔使われていた砲台の遺構が残っているようなのです。

見に行ってみようと脇道に入ってみると…さすが砲台へと続いているだけあり、道はグイグイと山を上っていきます。
なにより人の少なさが目立ちます。15分ほど走っても誰ともすれ違わず、いざ到着したら駐車場にも他の車がありません。若干の心細さを感じつつも好奇心が勝ってバイクを停め、徒歩で砲台へと続く階段を登っていきました。

三高山砲台

北部砲台跡は明治23年に作られたもので、瀬戸内海では最大規模なのだそう。レンガ造りの弾薬庫は自然に溶け込みながらも、どこかに人がいそうなちょっと不気味な雰囲気。
倉庫内に入ってみると空気がシンと冷たくその場に留まっていて、自分が歩く足音だけが「カツン…カツン……」と響いていました。
うぅ~ん。すごく素敵な場所なんだけど、一人で来るとちょっと怖いっ!

砲台本体は既に撤去されてなくなっていますが、その跡地は丸いくぼみとなって残されています。

まるで天空の城ラピュタの舞台のように、砲台跡は木々や草、苔に覆われながらも現在までその姿をとどめていたのでした。美しい景色がありながらも人が少ないため、カメラや映像が趣味の方には穴場的なオススメスポットです。

ちなみに、砲台が設置されていただけあって、現在の三高山砲台・北部砲台跡は瀬戸内海が一望できる絶景スポットとなっています。

砲台山パノラマ 展望台からの眺めはこの通り絶景です。小さな船が忙しそうに行き来する様子を見るのも楽しいですが、なにより見ていて飽きないのは海面の様子です。瀬戸内海の急な海流が、海面に龍のような美しい模様を作り出していたのでした。

瀬戸内の夕陽は懐かしい

砲台の見学を終えて山を下ると、すっかり陽が傾いて空がオレンジ色に染まっています。水平線の見えない瀬戸内海の夕陽は海や船、家を優しく照らし、島々のシルエットを穏やかに浮かび上がらせていました。

呉も江田島も初めて来た場所ですが、夕陽に照らされた景色を眺めるうち、どこか懐かしく胸が締め付けられるような気持ちになります。

あぁ、なんだかこの場所を離れたくない!後ろ髪を引かれる思いで帰路へと着いたのでした。
呉と江田島、また遊びに行きますね!

 

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